気づいたらマイナーなものを好きになりがちな人生でした。クラシック音楽ではチャールズ・アイヴズをこよなく愛しております。もっと頻繁にいろんな演奏会で演奏してほしいなあアイヴズ。「答えのない質問」ばかりじゃなくて他の曲もね。
マイナーなものは基本的に供給が少ないので、まれにある供給をひっそりこっそり何度も何度も自分の中で咀嚼するのが癖になっており、時折引き起こされるさざなみ以外は特に心乱されることもなく、満ち足りた生活を送っておりました。
そんなある日のことじゃった。ふとしたきっかけでメジャーもメジャー、世界最大規模のファンダムを誇るアイドルグループにハマってしまったからたまりません(自分はいわゆるDynamite新規です)。毎日怒涛のように押し寄せる供給、恐ろしいほどの解説や考察やファンアートの量、そして次から次へと発売されるグッズ(本人たちだけじゃなくてキャラクター2種類の分もあるよ)。いやまだはまって1年くらいなのですが、鳴門の渦潮に巻き込まれて「あーーーれーーーー」と言ってるだけで1年あっという間に経ってしまったような印象です。供給過多に耐性ないからさ。
直近で自分の生活を大きく変えたのは間違いなくマレーシア移住なのですが、その次くらいに影響あったのは間違いなくこの推し活です。世界的アイドルだと住んでいるところあんまり関係なく応援できるのが素晴らしい。というかどこに引っ越してもきっと逃れられない(おそろしい)。ファンの数が少ない国に住んでいると、グッズの送料が高いことがネックになりますが、それが過剰にハマることを防ぐ唯一の防波堤になっているのかもしれません(いや実際は買っちゃってるから防ぎきれてないような気が)。
音楽的にはキャッチーだとは思うしウェルメイドだとも感じるのですが、そもそもの自分の嗜好とは違うのでハマる理由にはならず、ハマった一番の理由は彼らの関係性です(いやダンスのすばらしさもありますが)。全員個性がまったく違うのに、仲が良いという言葉だけでは足りない絶妙なバランスを保っているところ。あとファンとの率直なコミュニケーションも良いです。ユーモアセンスもあるし、彼らがやること言うこと、見ていて本当におもしろい。弱小事務所から努力で成り上がったサクセス・ストーリーも魅力的です。
年を取ってからアイドルにハマるメリットとしては、相手を過剰に神聖視しなくて済むところがあります。いや人気があるとアンチの人も多く、「こんな嫌なところがある」とか知らなくていい情報を出してきたりもするんですが、それを見聞きしてもなんとも思わないというか、「いや人間だしそんなものじゃね?」で終わるところ。賞を取ろうが取らまいが人気が上がろうが下がろうが(下がっても元のマイナー好みに戻るだけなので何も変わらないし)新曲が良かろうが悪かろうが供給が増えようが減ろうが実は結構どうでもよくて、たとえ今の関係性とは少し変わってしまったとしても、それでもずっとずーーーーっとお互いを大切にする関係でいてほしいと思うわけです。無宗教でも何かしらに祈ることはあるわけですが、私の今の祈りはウクライナの平和と彼らの関係が永遠に続きますように、だけなのでした。